科学の子


    真理を証拠に勝利を掲げ 検証できない想いを殺し
    その目に見えないあらゆるすべてを 根こそぎ消し去り否定で隠し
    自分の視界を社会に押しつけ科学は世界を支配した

    神さえ霞める多大な効果を 発見しながら社会を覆い
    多くの痛みを大きく和らげ 多くの命をその手で救い
    自分の力が唯一無二だと科学は人へと主張をすると

    「真実なんか」と神秘を投げ捨て 信じるものこそ物だと思い
    この目に見えないあらゆるすべてを 根こそぎ消し去り否定で隠し
    自分を機能の一部に変えてく科学の子供を生んでった


    価値から自由な科学の子たちは 「自分がよければ何でもよい」と
    自由を逆手に手当たり次第に 誰もが崇める価値あるものを
    科学の基準にすべてを委ねたフラットランドを生みだした

    そうして質とは量へと変わり 自分の「わたし」は「それ」へと代わり
    中身が外身へ還元されてく 見せかけばかりの物しか産めぬ
    科学がリアルとリアルでないのを決めてく暮らしが出来上がる

    価値なき支配を自由と思うと 自分の価値では判断できず
    科学が定めるルールに従い 事実を並べる機能に変わり
    科学の子として心を殺して父なる機械に近付いた


    「どうであるか?」を教えるわりには 「どうあるべきか」を知らない父は
    「どうあるべきか」を教える母にも 「見えないお前は黙っていろ」と
    あなたはそうして母さえ追いだし自分の基準で社会を満たし

    子供のぼくらはあなたによく似て 「どうあるべきか?」の答えが言えず
    善いや、悪いや、正しい間違い 本物、偽物区別が付かず
    ぼくらはこうして意味さえ手放し生きてく歯止めを失った

    この地に広がる巨大な仕掛けの 社会を動かす歯車たちは
    どれだけ見事に機能をしようと 心にルールが無いものだから
    自分がよければ何でもよくなる自分の基準で生きてった


    科学の子たちが信じていたのは 自由で豊かな神様だけど
    どうするべきかを知らない自由や どうなるでもない豊かな日々や
    質なき暮らしを人へと広める中身を持たない神だった

    どうあるべきかを誰もが言えない システマチックな支配が生んだ
    どうなるでもない暮らしの仕組みを どうにかしたいと思うのならば
    技術の進歩に等しい歩幅の心の進歩が必要なんだ

    意味なきことには誰もが意味を 自分で探せる自由な意志を
    価値なきものには自分が価値を 誰かに与える豊かな愛を
    科学の時代に生まれた子たちはその手で求めるべきなんだ



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