クリスタルエイジ


    曇りを持たないガラスで見ていた 煌く世界の万華鏡
    疑うことない鏡で信じた 瞳に広がる理想郷
    明日を注いで期待で満たした幼いグラスのその心

    映るすべてを両手で真似て 理想の形を求めて捏ねて
    熱い想いで興味を吹き込み 何度も冷めては形を直し
    未来の自分を描いて創った最初は小さなこの体

    誰かが触れたらすぐにもひび割れ 不安な気持ちの音がした
    誰かに割られて破片が刺さって 深い傷さえ負いもした
    誰かへ注いで渡したものさえ否定で壊され泣いていた


    いつからだろう? 曇った両目 優しい想いを見抜けぬ両目
    内など眺めぬ偏見ばかりの 外しか見られぬ色つき眼鏡
    大きな役目の多忙で見落とす小さなあの子のサインの器

    どこからだろう? 固まる両手 等しい感度で掴めぬ両手
    自分の基準で器を握って 切れてた理由も感知ができず
    私的な事情で壊していたのに感受もできないあの子の欠片

    無闇に触れられ澄み処を奪われ 綺麗なレンズが汚れたせいか?
    割れて傷つく痛みに慣れすぎ 分厚いガラスに変わったせいか?
    それとも諦め自分で投げ捨てグラスを壊したせいなのか?


    人は誰しも幼い頃には 儚い心をその手にもって
    空の器に聴こえる響きを 月日も忘れて打ち立てながら
    昨日の味さえ仰ぎもしないで明日を飲み干し生きていた

    それがいつしか脆くも崩れて その目の都合で形を決めて
    こうして固めた世界の見方は あの子の視界も固めてしまい
    過去の名残の話で満たして未来を離してしまうから

    小さなあの手を掴んだそのとき 大きなこの手で砕かぬように
    幼い視界の儚い世界の 輝く期待を壊さぬために
    ぼくはこの手を離しはしない、あの日の心は砕かない



    【voice】

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