創作の原点 《後編》

「原点」。それは物事を考えるときの出発点。
今回は竹馬タケルが物作りをするときのスタート地点を思い出してみるってさ!

竹馬タケルについてのまとめ



    ロッキー:着いたぜ。ここらへんで変身するか!

    ウー:あらっ、突然大きな民家が見えてきたけど一体ここはどこなのかしら?

  •  ここは石田さん家(お母さんが勤めていた個人経営の製糸工場)によく似たイメージ空間。

     タケルは待機時間の間に保育園の近所にあった「石田さんち」って呼んでたこの場所によく走って行ったもんさ。
     いっつも大きな「ダダダダダダダダ!」っていう機械の音が鳴り響く、糸の匂いが充満する場所だった。



    ウー:へぇ〜、この製糸工場でタケルのお母さんは何を作っていたの?

    サー:たぶん、枕カバーやテーブルにおくような編み物だったんじゃないのかな。カラフルでキレイな花柄の編み物を機械で糸を縦横組み合わせながら編んでいく仕組みだったと思う。

    ウー:そう言われるとなんだかタケルの書く文章って、あの編み物によく似た仕組みになっているわよね。言葉を糸のようにつなげて編んでいくようなところとか。。。

     実はその発想が新しい文体をつくる上で大きなインスピレーションを与えてくれたんだ。

     サーチ、画像を貼ってサポートしておくれ。


     ハフッ!!


    サー:ありがとう。

     今振り返ってみると、色んな国の文体や日本語の特徴を取り込んだ末に生まれた文体がタケルの辿り着いた日本語芸術の未来のひとつの答えなんだけどさ、やっぱり原点はこの編み物の仕組みだったんじゃないかなって思う。


     縦横キレイに並んだ糸が綴り合いながらひとつの絵柄を完成させていく。それってタケルが言葉を綴って伝えようとするひとつの作品とよく似ている気がするんだ。


     なるほどね〜。
     そこに夕日から受けとった色と色とが混ざるイメージとか、レゴブロックを組み立てるように言葉を積み重ねる感覚とか、『みんなのうた』を見たり一緒に歌ったりして覚えたリズムなんかが活かされているのかもしれないわね。


     子供というのは、大人が思っている以上に繊細な感性を持って周囲の環境になじんでいくよう見えないところで自分を再構築し続けていく。タケルの場合、どう考えても創作的なことに関してはこの影響が大きいと思う。


     その代償として1人でいる時間が長過ぎたせいか、他人と接することに臆病なまま大きくなってしまったわ。
     そういう些細なところでも未来の自分に大きな影響をもたらすからホント、小さい頃に受け取るものや与え合う状況や環境というのは本当に大切だと思う。


     そしてこれは自分だけのはなしではないんだ。

     そう考えると大人が成すべき仕事というのは本来、これから生まれる子供たちのために、ありとあらゆるモノゴトの在り方を少しでも前より良いカタチに更新し続けていくことなのかもしれない。


     よ〜するに小さな頃からより多くの子供たちがより良いものを見たり、聞いたり、感じたりしながら育っていけば、この世の中はそう簡単にはおかしな方向にはいかない
     そんでもってその循環をつないでいくために大人はがんばる必要があるってわけね。

     ま〜、タケルのダメ人間や失敗人生っぷりを見る限り、なるべく子供を1人にさせておく時間は長くさせない方がよさそうなのは確かよねぇ〜。


     ウーノ、それは他人事ではなくボクらにも言える。

     この半年間、タケルのダメ人間っぷりをたっぷり見てきたせいか、それを真似てきたボクらもダメ兄妹の烙印を押されたからもうこれでクビになっちゃうじゃないか!



    ウーあ〜! そうだったわぁ!!

    サー:これからボクたちどうしようか。また拾ってくれる人が現れるのかなぁ、、、

    ロッキー:おミャ〜ら今さら鳴きわめいたって遅ぇんだよ〜、この――

    ロッキーバカニャロ〜が!!


    ウー:ギャァ〜!
     アタシたちの人生を破滅させる化け猫が来た!!


     もうオワタ、、、なにもかもおしまいだ、、、

     未完文楽団をご覧のみなさん、今までノートリー兄妹の応援ありがとうございました。
     次回からこの化け猫ロッキーと検索犬サーチがこのストーリーのコーナーを担当することになります、、、


     ワウ〜〜〜!!
    (安心してくだせぇ。お二人は亡骸はちゃんと油で揚げてから骨まで残さず食ってやるっス!!)


     それじゃぁおミャ〜ら、最後に言い残すことはにゃ〜か。


     うっ、、、アタシもサーぼぉと同じ気持ち。
     みんな今までありがとね。

     それからサーぼぉ、アタシのハーゲンダッツを3つも食べたこと、この際だからもう許してあげるわ。
     ウーノ砲も涙で濡れてもう使えそうにないもの。。。


    (お、おかしいな、、サーチと2人で1つずつ盗み食いしたのになんで3つなんだろう、、、)

     ありがとう、優しい妹よ。

     最後に言い残したいことは、タケルがつくった新しい文体の二つ名(別名)が決まったってことだけ。
     今日このアーカイブを終えて、ようやく胸にしっくりくる言葉が見つかったよ。

    その名は『天衣無縫』

     サーチ、ボクの最後の頼みだ。この『てんいむほう』という言葉の意味を探してきておくれ、、、



    サーチ:ワンワンッ!

    ウー:ところでサーぼぉ、最後の最後にこのwebサイトの根幹を揺るがすようなネーミングを残してどうするつもりよ。

    サー:しょうがない。今日この記憶をアーカイブする経験を経て、心の底からこれだって思える名前が浮かんじゃったんだから。

    ウー:そうね。あとはいつも通りの臨機応変さでなんとでもなるわよね。

    サーチ:ワウッ!!

    【天衣無縫】


    天人の衣服には縫い目のあとがないこと。転じて、詩や文章などに、技巧のあとが見えず自然であって、しかも完全無欠で美しいこと。また、そのさま。



    天真爛漫(てんしんらんまん)なこと。また、そのさま。


     これが天衣無縫の名前の由来、、、
     いいわね。
     すごくいいと思うわ!

     タケルは天真爛漫な人だし、編み物のような文体もお母さんとの大切な思い出から生まれたものだもの。


     そして完全無欠で美しい詩作品を目指すためのシンボルマークとしての文体名でもある。
     それは決して自分がそうだと主張するためではなく、その気持ちをいつでも心に纏っておくためのただの言葉としてイメージするために名付けようと思う。


     いつまでもそんな気持ちで、
     好きなことを笑いながら続けていけたらいいね。



    サー:縦の糸はあなた♪

    ウー:横の糸はわたし♪

    サー:織りなす布は

    ウー:いつか誰かを

    双子:暖めうるかもしれない

     こんなふうに誰かのこころを暖めたり、輝かせたり、羽ばたく気持ちにさせられる人になりたいんだ。


     言葉の使い方も文章の書き方も人それぞれだけど、タケルが目指すものはそこにあるのかもしれないわね。

     今日はまた大切なことをひとつ再確認させられた気持ちで胸がいっぱいだわ。


     ロッキー、もう何も言い残すことはない!

     あとは煮るなり焼くなり好きにするがいい!!


     ……おミャ〜ら……



    サー:・・・・・・・・・

    ウー:・・・・・・・・・

    サー:ど、、、

    ウー:どういうこと!?

     にゃっはっは!

     言っておくが、自分たちがクビになるかもしれないっていう雰囲気を作ったのはおミャ〜ら自身だったことを忘れるな。

     オレはタケルから頼まれた事をさらにおもしろおかしくするためにその流れに便乗してやっただけなんだぜ。


     こ、この性悪ネコ!

     その頼まれた事って一体なんなのよ!?


     それはおミャ〜らがこの半年でアーカイバーとしてどれだけ成長したのかを確かめること。
     普段裏方に徹してきたオレがじきじきに現れ、おミャ〜らがどれだけできるようになったのかを抜き打ちでチェックすることがオレとタケルの真の狙いだったんだ。



    サー:そ、それにボクたちは合格したってことでいいんだね?

    ロッキー:その通り。そのケツの尾羽に火が点いてただけあって今まででいちばんいい仕事をしたんじゃないかって思うぜ。

    サー:てっきりだらけた日々を送っていたから、クビになったと思って本気でビビったよ。

    ロッキー:まぁそこんとこはアレだ、子は親を見て真似て育つっつ〜から仕方にゃ〜がや。

     、、、とにかくよかったわ〜。
     これでアタシたち、まだお仕事を続けられるのね。


     ワンッ!!


     そういうことだ。
     だけど忘れるな。少しでも気を抜くと本当にチキンになってそこのイヌに食われることになるからな。

     あと、オレはもう死んでしまったネコだからこうやって化け猫になって出てくるしかないわけだが、おミャ〜らは死んでも死なねぇ不死鳥だろう?
     タケルは自分の詩を読むとき、よく鳥の鳴き声を意識している。一定のリズムに変化を加えながらチュンチュンチュンチュンやるような感じだ。

     そしてフェニックスっていうのは神話上、詩作に優れた生き物だと語り継がれている。だからタケルがいちばん好きな動物はネコかもしれないが、憧れを抱いているのは不死鳥だっていうことも忘れるな。

     じゃ、そろそろ腹が減ったからおいとまさせてもらうぜ。



    サー:ロッキー、また会えるかい?

    ウー:性格は一癖あったけど、とっても仕事がはかどったからいつでも協力してほしいわ。

    ロッキー:おミャ〜らホントに物覚えの悪い奴らだなぁ〜。オレはこのノートのありとあらゆるものだからいつでも会えるだろうがこの――




    ロッキーバカニャロ〜が!!




    ウー:素直じゃないけど、ネコは気まぐれだっていうからきっとまた来てくれるわね。

    サー:あぁ。最後にこんなキレイな夕焼け空の演出まで残してくれたし。

    ウー:タケルの創作の原点。

    それは保育園と製糸工場で過ごした時間

    サー:そしてこの夕日

    ウー:その生態はネコゆずり

    サー:目指すところは不死鳥のように。

    双子:これにて原点のアーカイブーー


    双子:一件落着!!


おまけ



    ウー:ところで、まだ一件落着していない事件が1つ残されているんですけど。

    サー:じ、事件ってなんの事件?

     クンクン。。。
    (火薬のニオイがプンプンする、、、逃げる準備っス


     アタシのハーゲンダッツを3つも食ったことに決まってんじゃないの!!


     そ、それはさっき許してくれるって言ったじゃないか!?


     フッ。
     助かった今となってはそんなもん別件バウアーよ。
     大統領命令じゃなくてもアタシは24秒以内に犯人のアンタに向かって対戦車ライフルをぶち込んでやるわ。

     だけど安心しなさい。
     アタシたちは死んでも死ねない不死鳥だから。


     クソッ!
    (ウーノがこうなってはもうダメだ。ここはせめて減刑されるための悪あがきをするんだ……)

     白状しよう。
     ボクが盗み食いしたハーゲンダッツは1つだ。
     もう1つはサーチが食った!!

     ボクを撃つってことはそこにいる小さくてカワイイ犬の命まで奪うってことだ!!

     こうなったらさすがのウーノも手を出せないだろう。

     ポッポッポッポッポッ!!



    サー:ちょっ、おまっ、裏切っ、、、

    ウー:サーぼぉ、アンタがあんなこと言うからサーチが怖がって逃げちゃったじゃないの。

    サー:いや、マジで、、ちょっとたんま、、、

    ウー:するわけないでしょ。到着から落着したのはいいけどそれ以下の地に堕ちたオチに辿り着いたわね。そのまま地獄にー―


    ウー落ちてけぇえぇ!!
    ◀【対戦車ライフル

    サータケルゥ〜、どうかこれを避ける絵をつくってくださ〜〜〜い!!


    ウー:ったくタケルといい、最近のダメな男のいい見本ね。そのケツの痛みを思い出すたび盗み食いをしたことを悔やむがいいわ。

    サー:ピクピク。。。あ、あう。。。
    (ま、まだ事件は終わっていない。1つはボク、もう1つはサーチが食べたのならもう1つのアイスは一体誰が、、、)

    ウー:さぁサーぼぉ、ぼそぼそつぶやいてないでさっさと帰るわよ。カラスだからこぉ、夕日を見ると帰巣本能が働くのよね〜(バサバサッ

    サー:し、真犯人は、、一体、、、





    ロッキー・・・・・・・・








© 2018 未完文楽団.All Rights Reserved.