絶え間なく降り注ぐこの雨の中
傘も差さず弧を描くように舞い踊り廻っていく
「あぁ、こんなにも人生が楽しくなければ・・・!」
自由の流れに魂を揺さぶられながら泣く少年はそう囁く
色を帯びたその雨は世界のすべての色を変え
灰色で書き殴られたこの箱庭を七色で洗い流していく
「あぁ、こんなにも世界が美しくなければ・・・!」
幸福の色に心を染められながら泣く少年はそう呟く
張り詰める指先に全神経を集中させ
指で夢を指揮しながら高らかに音を奏で歌っていく
「あぁ、こんなにも人間が素晴らしくなければ・・・!」
歓喜の声に身を包まれながら泣く少年はそう唱える
白く輝く雨雲を見上げながら両手を天に掲げ
雲の隙間から降り注ぐ光の柱をその全身で受け止めていく
「あぁ、こんなにもぼくがぼくでいなければ・・・!」
至高の標に導かれながら泣く少年はそう響かせる
星の点を流星の線に変え星座のように繋げ
暗闇の画板に光の音色で未来を描いていく
「あぁ、こんなにもすべてが輝き生きていなければ・・・!」
ただひたすらに泣くことしか出来ない少年はそう叫ぶ
あたかも宇宙の暗闇を切り裂く一雫の流星のように
光り輝く涙の雨の中を一人少年は今日も駆け巡る
【voice】
fin