翼の価値は


    汚れをもたない翼を背負って ぼくらは生まれ落ちてきた
    想像しながら羽ばたく姿は無垢なる天使の化身のよう

    けれどもいつしかこの日が訪れ 翼に手をかけ悪夢に悩む
    「生きてくためにはぼくらはこうして翼を捨てなきゃいけないの?」

    汚れをもたずに翼を守って ぼくらは生きてくことさえできず
    社会の囲いに仕えていくため堕落の奈落へ堕ちていく


    一枚一枚羽から金へと 生きてくためにと抜き取りながら
    想いを犠牲に練金しながら紙幣に換金しながら生きる

    そうしていつしかその日は訪れ 翼を失くした自分に諭す
    「生きてくためには誰もがこうして堕ちてかなければならない」と

    一日一日妥協を覚えて 惰性で生きてくことしかできず
    欲へと塗れて死ぬまでもがいて奈落の底へと沈んでく


    神へと仕える翼を捨て去り 自分に使える物へと変えて
    想像しないで生きてく事こそ悪魔に近付く事なのだろう

    羽から金へと翼を減らして 心を売るたびぼくらは堕ちて
    理想を持てない飛べない奴らがこの地を地獄に変えるのだから

    この目に見えないその背の翼を ずぅっと守って生きてくことは
    この地をずぅっと守るに等しい意味も、価値もあるはずさ



    【voice】

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