小石に躓くと
大声で痛がり
大怪我をしたら
何事もなかったかのように平静を保ち
子猫に引っかかれると
飛び跳ねて病院へ駆け込み
飼い猫が寿命で死んだら
「おつかれさま」って拍手で見送り
自分の心や体や物が傷ついても
「大丈夫だよ」って笑顔を浮かべ
大切な人の何かが傷付いたら
自分が傷付く以上に心を痛ませる
そんな風に大きくなりたいと
ずっとずっと思い描いてきた
今、自分はそんなふうに
少しでも近付いているのだろうか?
もしもその場所に辿り付けたなら
ぼくを締め付けるこの見えない鎖を引きちぎり
過去の痛みの山を越え
深い傷の谷をも越えて
見えない翼で笑顔の空へと飛んでいきたい
【voice】